皆さんは「地方移住」という言葉を聞いたことはありますか?
聞いたことはあるけど詳しくは知らない、自分にはあまり関係がないと思っている、という方が多いかもしれません。
近年、UIJターン転職などが盛んになっていることもあり、地方移住を真剣に視野に入れる方が多くなっています。
そこで今回は地方移住とは何か、どのようなメリットや支援などがあるのかということについて触れていきます。
地方移住とは?
そもそも地方移住とはどういったものなのか知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、まずは地方移住そのものについて説明していきたいと思います。
地方移住とは東京や大阪など、いわゆる都心部から離れて地方に移り住むことです。
単なる「引越し」とは異なり、移住した土地で「定住」することが地方移住の定義となっています。
都心部と地方では生活の仕方や居住環境、土地の雰囲気なども大きく変わります。
それに伴って地方移住には「これまでの生活自体に大きな変化が表れる」という特徴もあります。
地方移住のメリット
地方移住には様々なメリットがあります。
都会の生活とは全く違った魅力が数多くありますので、ここで触れていきましょう。
地方移住のメリットは主に以下の点です。
- 家賃が安い
- 美味しい食材が安く手に入る
- レジャーが身近になる
- 自然が豊か
- ゆったりとした生活を送れる
では、それぞれについてもっと詳しく触れていきましょう。
家賃が安い
地方移住のメリットの中で最も魅力的なのは家賃が安いということで間違い無いでしょう。
東京や神奈川などの首都圏と比べてみても、同じ広さで安く済める物件が数多くあります。
通勤の便など多少不自由になる点にさえ慣れてしまえば、もしかしたら同じ家賃で都心に住んでいた頃より広いところに住める可能性だってあるのです。
お子様を抱えている家庭で都心での賃貸生活に圧迫感を感じている場合には、地方の物件の家賃をリサーチして移住を視野に入れてみるのも良いのではないでしょうか。
美味しい食材が安く手に入る
いわゆる「名物」や「特産品」が多いのが地方の特徴であり、最大の魅力です。
観光などでしか味わえない地域の味を生活圏内で味わえると考えるととても魅力的に感じませんか?
毎日の生活に必須な美味しい食事、慌ただしい都心部での生活ではどうしても「作業」になってしまいがち。
地方移住を実現させれば食事をより楽しく充実したものにすることができるかもしれません。
レジャーが身近になる
前述した食と同様に、観光の魅力のひとつに挙げられるのがレジャーです。
地域の色を活かしたイベントや施設などで過ごす時間はいつまでも残る思い出になります。
その楽しい時間を生活している範囲内で気軽に過ごすことが可能になるのは地方に住んでいる方の特権です。
レジャーで有名な土地や過去に訪れて特に思い出に残っている観光地を移住先の候補にするのも良いかもしれません。
自然が豊か
首都圏では多くのオフィスビルやマンションなどが立ち並び、自然とはどこか離れてしまっている印象。
自然と遠くなっていることが慌ただしさを生み出してしまう原因になり、それがストレスになってしまうかもしれませんね。
地方に移住することでそういったストレスからは解放されます。
何故かというと、首都圏に比べて地方の発展には「集中」という特徴があるからなのです。
地方の中でも当然「都心部」となる地が存在していて、首都圏並みとは言えませんが高度な発達をしています。
その発展があくまで都心部に集中していることで、少し離れるだけで豊かな自然や穏やかな風景の土地に帰ってくることができるのです。
働くのは中心地で、仕事の後は自然が多い土地に帰るという生活を過ごすことが可能になるでしょう。
ゆったりとした生活を送れる
地方で生活をすると首都圏では味わえないゆったりとした生活を送ることができます。
首都圏では電車が分刻みに来たり、人が慌ただしく動いていてゴミゴミしている印象があります。
常に時間が足りないような感覚に疲れを覚えてしまいがちですが、地方ではそういったことは少なくなります。
地方というとどこかゆっくりとしていてマイペースな時間が流れているような感覚がありますので、穏やかな気持ちで過ごすことが可能になります。
都会での慌ただしい喧騒に疲れてしまった…という方もぜひ地方移住を考えてみてはいかがでしょうか。
地方移住のデメリット
数多くのメリットがある地方移住ですが、どうしても避けられないデメリットとなってしまう点もいくつかあります。
地方移住のデメリットは主に以下に挙げられます。
- 賃金が下がる
- 仕事が少ない
- 車が必要になる
- 旅行に行きにくい
- ご近所付き合いが必須
それぞれどういったことがあるのか詳しく触れましょう。
賃金が下がる
地方移住において最大のネックになるのが賃金についてです。
都心部に比べると当然物価なども変わってきますし、発展の度合いでいうとやはり地方は敵わないです。
そういった面から、都心部で働いている頃より給料が下がってしまうことはある程度各不語しておく必要がありそうです。
ただ最近ではテレワーク(リモートワーク)が盛んになってきましたので、単なる引越しを伴う移動だけで仕事自体は変えずに済む場合もあるかもしれません。
仕事が少ない
賃金が下がるのと同様、やはり都心部に比べると求人そのものが少なくなってしまいます。
いわゆる「大企業」というものは都心部に集中していますので、地方で思い通りの仕事を見つけるのは中々難しいかもしれません。
車が必要になる(車社会)
地方の生活の特徴でもある車社会ですが、場合によってはデメリットになってしまう場合もあります。
例えばちょっとした買い物でコンビニやスーパーに行きたくても車で行くような距離にしかなかったりします。
都心部と比べて娯楽施設も少ないので、たまの休日にどこかへ行こうとするとどうしても車での「遠出」になってしまいがちです。
また、どこへ行くにも車移動になることが多いので、ガソリン代が多くかかったりするのも痛手になります。
車自体を持っていない方はまず購入することが大きな出費であり、デメリットになるかもしれません。
自分のペースで行きたいところに行けるのが車のメリットですが、かえって重荷になってしまう場合もあるということは覚えておくと良いでしょう。
旅行に行きにくい
地方の魅力は「観光地である」というところですが、いざ住んでしまうと自分がいるところが観光地になりますので、中々他の土地への旅行がイメージしにくいのです。
地方に住むと旅行に行きにくい理由が「空港や新幹線の不足」です。
不足といってしまうと語弊がありますが、あらゆる箇所に気軽に移動できる羽田や成田などの空港は都心部にあります。
都心部は新幹線も多く走っていますので、旅行という面に関してはフットワークを軽くしてくれます。
反対に、地方に住んでいて遠方へ旅行したいと考えると、まず主要な空港などへの移動の手間がかかるのです。
それには移動もお金もかかってしまうので、都心部での生活に比べると旅行が少し身近じゃなくなる可能性があります。
ご近所付き合いが必須
いわゆる「田舎暮らし」ではご近所さんとの関わりが必須になってきます。
もちろんいいことも多いですが、地方での団体行事に参加する必要が出てきたり、そもそも移住先のご近所さんに受け入れてもらえない場合もあります。
多少運も必要になってきますが、ご近所付き合いをどう上手にしていくかで生活に影響が出てしまうことがあるのを覚えておきましょう。
UIJターンに関するメリット・デメリットなどをもっと詳しく知りたい方はこちら!
地方移住の人気都市ランキング
様々な土地への地方移住が可能ですが、認定NPO法人である「ふるさと回帰支援センター」の2019年移住希望地域ランキングを見てみましょう!
ランキングを確認してみて、他の人がどのような県を選んでいるのか確認しましょう。
第1位に輝いたのは長野県。何と3年連続で1位という快挙を達成しました。
ではなぜ長野県はここまで地方移住の需要があるのでしょうか。
まず第一に挙げられる理由としては首都圏からの近さです。
新幹線を使えば東京まで約1時間半あれば行けるので、初めて地方移住をする方にとっても選択しやすい地域であることがわかります。
首都圏へのアクセスがいいのに関わらず、地方特有の豊かな自然や穏やかな空気も感じることができます。
地方移住のデメリットとして首都圏へのアクセスの不便さがありますが、長野県であればそういった不自由がないのです。
また、長野県は北海道に次いで市町村が2番目に多いのも特徴となっています。
77もの市町村があるので、他県と比べて移住先の選択がしやすいのがメリットです。
また、出張相談デスクなども活用されていますので、それによってランキング1位をキープし続けているのかもしれません。
続いて第2位にランクインしたのは広島県。
前回のランキングでは6位でしたが、驚異的な上昇率で一気に2位にまで駆け上がりました。
特に20代~40代の若い世代から人気を集めています。
働き盛りの世代が注目している広島県、観光都市としても人気がありますので移住先の候補として考えてみても良いかもしれませんね。
第3位にはこちらも首都圏へアクセスしやすいのが特徴、静岡県がランクイン。
新幹線はもちろん、高速バスなどでも気軽に移動ができますので移住したことがない方にとってハードルが若干低めになることが人気の理由なのかもしれません。
浜松餃子や御殿場アウトレットなど、人気の名物や観光スポットもありますので、静岡の空気を身近に感じながらの生活に魅力を感じる方が多いのではないでしょうか。
今回は人気ランキングを基準に3都市について触れましたが、各都市それぞれに移住のメリットや魅力があります。
なのであくまでランキングは参考程度にし、ご自身がまず移住したいと第一に考える都市を候補にした方がイメージはしやすくなるかもしれません。
地方移住とコロナの関わり
地方移住の主なメリットとデメリットについて触れましたが、気になるのは世界的に大打撃を与えている新型コロナウイルスとの関わりについて。
「withコロナ」という言葉が広まってきていることから、コロナがすぐそばにきていることを前提にした上で自身のあり方や生活について考える必要が出てきました。
様々な企業がリモートワークというスタイルを実践し、自宅で仕事をすることがデフォルトになっているところも多いでしょう。
リモートによる不便も当然ありますが、通勤の手間が省けるなどの大きなメリットも見出せています。
そう、出社しなくても勤務ができるメリットの中に見えてくる背景こそ「地方移住」なのです。
都心部にいた方が当然ビジネスの感度は高く、多くの知識や経験を得やすいのは事実。
ですが、リモートワークの定着により「いかに自身の環境を良くしながら働くか」という考えを持ち始めた方も多いでしょう。
仕事をしやすい環境に特に大きく関わるのが「自身の周りの環境」であり、居住環境です。
好きな土地で居心地よく暮らしながら働くにはどうしても転職が前提になりますが、リモートワークが認められた職場であればその心配はいりません。
転職の必要がないばかりか、自身の知識や技術を好きな土地で存分に発揮できるワークライフが夢じゃなくなるのです。
コロナウイルスの蔓延自体は決して前向きに思えることではありませんが、コロナをきっかけに地方移住を実現するのが現実的になりやすくもなりました。
都心部での勤務という概念に捉われてしまって本当の理想を見失うぐらいなら、いっそこの機会を利用して地方移住を視野に入れることも今後に関わる大きな一歩になるでしょう。
地方移住を成功させるための支援や補助金・助成金
地方移住を現実的に考えたときに知っておくべきなのは支援や補助金について。
ここでは地方移住の際に使用したい支援や補助金のついて触れていきます。
地方へ移住するとなるとどうしても気になるのは費用や出費についてです。
引越し代金や引越し先で使う家具や家電の購入、地方であれば新しく車を買う必要がある場合も多いです。
それら全てを自費負担だけで済まそうとすると、それだけで一気に現実味がなくなっていいます。
そこで使えるのが支援金制度。
最近では自治体はもちろん、政府も力を入れています。
2019年~2024年内で移住する際には「地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業」というのが使えます。
また、過疎化や高齢化などが深刻な地方の自治体では「地域おこし協力隊」という支援が行われています。
これら2つについて詳しく触れていきましょう。
地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業
前述しましたが、2019年~2024年内での移住に使えるのが地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業です。
これは、条件を満たすことで単身で最大60万円、世帯で最大100万円の補助金を受けられるというもの。
主な条件は以下の通り。
- 移住直前10年間で東京、神奈川、埼玉、千葉に在住
- 東京23区に通勤していた
- 移住先で起業する
- 移住先指定に起業に就職する
- 申請後最低5年以上は移住先に定住する意思がある
これらの条件を満たしていれば補助を受けられる可能性がありますので、移住に関する費用を最低限に抑えることが可能になります。
その他にもいくつか条件がありますので、「内閣官房・内閣府 総合サイトみんなで育てる地域のチカラ 地方創生」を参考にしてください。
特に起業の場合だと、事業の内容によってはさらに最大200万円の支援を受けられる場合があります。
地方移住と合わせて起業も考えている方にとって絶対に見逃せない支援となっています。
ただ、移住先の地方によっては支援の対象とならない場合もあります。
地方創生支援異形マッチングサイトが開設されていることが支援を受けられる基準となりますので、移住先にマッチングサイトがあるかどうかの下調べを怠らないようにしましょう。
地域おこし協力隊
地域おこし協力隊とは、地方自治体が都市の住民を受け入れて地域協力活動に従事することです。
地域のための活動に従事することにより、協力隊員の報償など一定額を国からの措置により受けることができます。
支援を受けられるだけでなく、移住者が地域活動によって移住先に定着しやすく、地域自体が活性化するというメリットがあります。
自治体によって異なりますが、報償費や経費などで最大400万円の交付措置が給料という形でなされます。
地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業と同様、実践している自治体を事前に調べておくことが必須になりますので注意しましょう。
地方移住や地方転職に適した仕事
地方移住を実現させようとした際、事前にやっておくべきことがいくつかあります。
いくら居心地の良い環境で暮らしたいと考えても、先立つものがなければ夢と消えてしまいます。
ここでは地方移住に向けた転職活動や、地方移住に適した職種について触れていきましょう。
転職活動はどう行うべきか
首都圏と地方移住の場合とでは転職活動が異なるのかというと決してそういうわけではありません。
ハローワークで仕事を紹介してもらえる場合もありますし、求人サイトや求人誌から中途採用の企業を見つけてアポを取ることも可能です。
あくまで職種の違いや給与面での変化といった面でのギャップがあるぐらいで、転職活動自体に大きな変化があるというわけではないのです。
ただ気をつけておきたいのは、移住を伴う転職はこれまで暮らしてきた環境自体が大きく変化するものだということ。
引越しが不要な転職であればある程度は気軽に転職活動ができますが、地方移住での転職となるとそうはいきません。
長期での居住も視野に入れ、一度移住したら中々戻ることは難しいということを前提に一層注意深く転職活動をする必要があることを覚えておきましょう。
地方移住に適したおすすめの職種
リモートワークが発達し始めてきたことにより、移住をしても仕事を変えずに済むパターンも増えてくるかもしれません。
ネット環境さえ整っていればフリーランスや業務委託で現在の仕事をそのまま続けることも可能です。
ですが、まだまだ居住環境と合わせた仕事をするスタイルがメインになるかと思いますので、田舎暮らしに適した職種についてもいくつか紹介していきましょう。
地方移住と相性が良い職種といえば、やはりまず挙げられるのは農業や林業、漁業や畜産業などの「一次産業」と呼ばれる職種ではないでしょうか。
これらは田舎暮らしの方が多く実践している「自給自足」の生活に直結する職種なので、移住後の生活の基盤づくりを考える上で最も候補に挙がりやすい職種です。
近年高齢化が深刻となり、後継者不足に悩んでいる産業経営者も多くいます。
収入源や食に関する安定はもちろん、長く続いた歴史を引き継ぐための役割を担うという人生も視野に入れることができるでしょう。
また、後継者不足の背景にある高齢化ですが、それに伴って介護や高齢者サポートの仕事も非常に需要があります。
資格が必要になる場合も多いですが、これから長い期間暮らしていく地域の高齢者を手助けする仕事も魅力があるのではないでしょうか。
他にも、田舎であれば空き家などが多いので、それを利用して民宿やカフェなどを経営する方も多くいます。
近年注目されている「クラインガルテン」という自給自足のための市民農園を運営するのも地方ならではの職種です。
先ほど触れた「地域おこし協力隊」も地方で生活をする上で非常に大切な役割を果たす仕事なので注目したいですね。
あくまでここまで挙げた職種は地方特有のものであり、選択肢のひとつです。
各地の主要都市にはハローワークなども当然ありますので、まずは移住先にどのような職種があるのかをリサーチすることから始めてみても良いでしょう。
地方移住の成功と失敗
最後に、地方移住を成功させるために必要なポイントと、失敗しやすい場合について触れていきましょう。
成功の可能性と失敗のリスク、どちらもしっかり把握した上で移住について考えていきましょう。
地方移住を成功させるためのポイント
地方移住を成功させるために押さえておきたいポイントは主に以下の通りです。
- 田舎特有の空気や自然が好きかどうかを考える
- 転職先や近所付き合いなど自分から積極的に動く
- 人付き合いを上手にできるか考える
- 転職活動を終えてから移住する
- 移住先の特性について知っておく
大きく環境が変わることなので、事前に地方移住についての知識は蓄えておきましょう。
失敗しやすい人の特徴
続いて地方移住に失敗しやすい、向いていない人の特徴についてです。
主に以下の場合が挙げられます。
- 田舎暮らしの理想が高い、美化している
- 雪や寒さなど、急激な気候の変化が苦手
- 虫や動物が苦手
- 交通の不便さなどを受け入れられない
- 受験など、子供の進路に影響が出る可能性がある
- 医療機関や娯楽施設の少なさに不便を感じる
- 近所付き合いが苦手
- 転職の準備が疎か
これらの点が当てはまり、尚且つそれがストレスになってしまう場合はもしかしたら地方移住が向いていない可能性があります。
ご自身の性格や今後の生活のビジョンと照らし合わせてとことんまで考え抜いてから決断するようにしましょう。
まとめ
今回は近年注目されている地方移住について触れてきましたがいかがでしたか?
都会の喧騒から逃れてゆったりとした人生を過ごしたい方にとっては魅力的なことです。
たくさんのメリットがある反面、多くのデメリットがあるのも事実。
事前準備も必要になりますし、場合によっては移住自体が失敗になってしまう可能性も0ではありません。とはいえ、マイナスな面ばかりではありません。
穏やかな雰囲気や豊かな自然、美味しい食べ物やゆっくり流れる時間など、地方移住ならではの魅力も豊富にあります。
良い点と悪い点についてどちらもしっかり理解し、ご自身の性格や今後の理想と照らし合わせて移住を考える必要があります。
地方移住を考えているという方はもちろん、今後のために地方移住について知っておきたいという方もぜひ今回の内容を参考にしてください。