地域の店や事業を引き継いで移住するには、希望地域の事業承継・引継ぎ支援センターに相談し、候補探し、現地確認、資金・契約の確認を進めます。求人への応募とは異なり、自分が経営を担う準備が必要です。
「継業」は、地域で続いてきた仕事や事業を引き継ぐ働き方を考える際に使われる言葉です。この記事では、親族以外の人が店や事業を引き継ぐ第三者承継を中心に、移住前の確認事項を整理します。情報確認日は2026年10月26日です。
継業と働き方の違い
移住後の仕事を考えるときは、「雇われて働きたいのか」「自分で経営したいのか」を分けると、探す情報がはっきりします。
| 選択肢 | 主な入口 | 最初に確かめること |
|---|---|---|
| 就職・転職 | 求人への応募と雇用条件の確認 | 仕事内容、給与、勤務時間、勤務地 |
| 新規創業 | 自分で事業と顧客をつくる準備 | 商品・サービス、顧客、物件、必要資金 |
| 継業・第三者承継 | 引継ぎ候補とのマッチングと条件調整 | 引継ぐ資産・仕事・取引関係、経営状態、契約条件 |
第三者承継では、既存の顧客や店舗、技術などを引き継げる可能性があります。一方、前の経営者との方針調整や、立地・設備など既存条件の確認も必要です。中小機構は、後継者人材バンクの対象例に、経営意欲のあるU・I・Jターン希望者も挙げています。中小機構の第三者承継支援
移住の種類を整理するならUターン・Iターン・Jターンの違い、ほかの働き方も比べるなら地方移住での仕事選びを確認してください。
相談から引継ぎまでの5つの準備
以下は、移住と継業を一緒に検討するための編集部の整理です。順序や必要な手続きは案件・制度によって異なります。
1.暮らしと仕事の条件
希望する地域、住まい、家族の生活、通院や交通、働ける時間を書き出します。事業の所在地が決まっていても、その地域で暮らし続けられるかは別に確かめる必要があります。経験を生かせる仕事と、これから学ぶ仕事も分けておきましょう。
2.公的窓口への相談
国が設置する事業承継・引継ぎ支援センターは、第三者への引継ぎを含む相談に対応しています。希望地域の窓口に「移住と、店・事業を引き継ぐ働き方を検討している」と伝え、後継者人材バンクや候補情報の探し方を確認します。
センターの相談は無料ですが、紹介先の民間M&A支援機関による支援は有償です。相談料と、後で依頼する仲介・専門家業務の費用を分けて確認してください。全国のセンター一覧から地域を探せます。
3.候補先と地域の現地確認
募集内容だけで決めず、可能な範囲で店や現場を訪ねます。店主の引退理由、日々の仕事、繁忙期、必要な技術、顧客との関係を質問し、仕事の体験や引継ぎ期間を相談しましょう。家族も含め、住まいと事業の両方を見てから判断するための段階です。
4.資金と契約の確認
売上だけでなく、仕入・人件費・賃料などの費用、手元に残る資金、設備の状態、引継ぐ範囲を確認します。借入・保証や契約の扱いを自己判断で済ませず、支援センターから税理士・弁護士などの適切な相談先につないでもらいましょう。
中小機構も、第三者承継では個人保証債務の引継ぎが必要となる場合があると案内しています。「店舗を使える」「会社を引き継ぐ」といった説明だけで、何を負担する契約なのかを決めつけないことが大切です。
5.引継ぎと移住の日程
相手との条件調整に加え、契約、資金の準備、営業に必要な手続き、住まい、引越し、経営者から学ぶ期間を並べて確認します。補助制度を使いたい場合は、先に相談が必要か、いつまでの承継・移住が対象かを、契約前から窓口へ確認してください。
従業員・取引先・顧客に誰がいつ説明するのか、引継ぎ後も前経営者に相談できるのかも、双方で話し合う項目です。
譲渡価格以外の費用と確認項目
「0円譲渡」と書かれていても、移住や営業に必要な費用まで不要になるとは限りません。譲渡代金、事業を動かす資金、家庭の生活費を別々に見積もると、不足する費用を見つけやすくなります。
| 項目 | 契約前に確認したいこと |
|---|---|
| 譲渡対象 | 店舗・設備・在庫・屋号など、何を引き継ぎ、何が対象外か |
| 設備と物件 | 修繕や更新の必要性、物件を借り続ける条件、リースの扱い |
| 営業資金 | 仕入、人件費、賃料などの支払いと入金の時期 |
| 契約と負担 | 借入・保証、取引契約、専門家報酬などの内容と負担者 |
| 営業の手続き | 必要な許認可・届出と、承継時に必要な対応の担当窓口 |
| 移住生活 | 引越し、住居、車などの準備と、家庭の生活費 |
日本政策金融公庫は、仕入や諸経費に使う運転資金と、店舗・機械などの設備資金を分けて案内しています。資金調達の相談でも用途を整理し、審査を経る前提で確認します。営業に必要な許認可についても、業種に応じた窓口への確認が必要です。日本政策金融公庫の案内
移住と事業承継に関係する支援制度
次の表は、2026年10月26日に県の公開ページで確認した2026年度の例です。全国の金額順位ではありません。申請資格、予算残額、個別案件の募集状況は窓口で確認してください。
| 地域・制度 | 公表されている支援 | 主な条件と申請期間 |
|---|---|---|
| 佐賀県・事業引継ぎ奨励金 | 第三者承継の譲受け側30万円。県外から移住して譲り受ける場合、要件を満たすと移住加算30万円 | センター登録等が必要。加算は申請日までの県外からの移住、5年以上住む意思、ほかの移住補助金を受けていないこと等が条件。受付予定は2026年4月24日〜2027年3月1日 |
| 福井県・県内企業M&A支援奨励金 | 買い手50万円。県外からのUIターン者などへの引継ぎも対象になり得る | センターに相談した上で行う2026年3月1日以降の引継ぎが対象。募集予定は2026年5月25日〜2027年2月26日。予算がなくなり次第終了 |
佐賀県は2026年3月1日〜2027年2月28日に承継を完了したことなどが要件で、一部業種や、事業引継ぎの実態がない居抜き等は対象外です。福井県は、後継者の全国公募も案内していますが、候補者が選定された事業者から募集が終わります。佐賀県の公表内容、福井県の公表内容
移住支援金と事業承継支援は、対象者や併用条件が同じではありません。別々の制度の上限額を足して「この金額を受け取れる」と判断しないようにしましょう。住まい・就業なども含む制度の確認は移住支援制度の調べ方、制度名の違いは助成金・補助金の基礎知識も参考になります。
継業と移住のよくある質問
未経験でも継業の相談はできますか?
中小機構は、起業を希望する人と後継者不在の事業者をつなぐ後継者人材バンクを案内しています。まず希望地域のセンターへ、経験や希望を伝えて相談できます。ただし、相談できることと、候補に選ばれることは別です。必要な技術や登録条件、許認可は案件ごとに確かめてください。
0円譲渡なら自己資金なしで始められますか?
譲渡価格だけでは判断できません。設備の修繕、仕入や賃料などの営業資金、移住・生活費も確認が必要です。融資や支援金を受けられると決めつけず、必要資金と準備できる資金を分けて相談しましょう。
移住支援金と事業承継の奨励金は併用できますか?
制度によって異なります。例えば佐賀県の移住加算には、ほかの移住補助金を受けていないこと等の条件があります。移住担当と事業承継担当の両方に、利用予定の制度名を伝え、申請・契約・移住の前に確認してください。
最初の相談に向けて
候補の店や金額を見る前に、希望地域、経験、仕事と暮らしの条件、準備できる資金、希望時期を1枚にまとめてみてください。それを持って公的窓口へ相談すると、候補探しと、先に確かめる条件を整理しやすくなります。ijuuの地域・仕事・支援制度ガイドから、移住先の情報も合わせて調べられます。
編集:ijuu編集部(運営:株式会社AilaB)。公的機関の公開資料をもとに編集しています。情報確認日:2026年10月26日。募集期間内でも予算終了や条件変更があり得るため、申請前は各制度の公式案内を確認してください。訂正のご連絡は support@ailab-corp.com へお願いします。
掲載画像は、地域で仕事を引き継ぐ様子を描いたAI生成イラストです。
