地方へ移住して仕事を持つことに、どんなイメージをもっていますか?
憧れはあっても、地方に移住してどんな仕事ができるだろうかという漠然とした不安はつきものです。
都会の喧騒を離れたいけれどどんな仕事をしようかと迷っている方に向けて、移住者に特に人気の仕事7つを厳選しました。それに加えて、地方移住のメリット・デメリットも紹介します。
・地方に帰省して仕事をしたい20代
・次のステップとして地方で仕事したいと考える30代
・自分らしいスタイルで地方移住して仕事をしたいと思う40代
・落ち着いた環境のある地方に移住して仕事をしたいと思う50代
など年齢ごとに地方移住して仕事を始めたいと考えている人は様々いると思います。
長い目で見て得られるメリットも説明しますので、地方へ移住して仕事を始めることに関心のある方は、より働き方のイメージを深めていきましょう!
地方移住した時にどんな仕事があるの?厳選7つの仕事を紹介
地方へ移住して仕事を見つけようという方に向けて、具体的な仕事の例を紹介していきます。地方だからといって職種が限られることはありません。移住先によって様々な選択肢があります。
(1)リモートワーク(テレワーク)
現在の仕事がリモートワークで続けられるなら、今の職場に近いところに住む必要はなくなります。
地方は東京・大阪・愛知などの都心部と比べて、家賃は低額です。都市部に住み続けるよりも、固定出費を抑えられます。つまり、貯蓄の増加や、自己研鑽・趣味に投資できるのです。
リモートワークの結果、残業が減り、収入自体は下がってしまったという声もあがっています。必要経費を最低限に抑えるために、地方移住は有効な手段の一つです。
とくに、IT産業ではリモートワークの環境が整いやすいでしょう。
都市部の自宅でリモートワークを続けるのではなく、この機会に自然豊かな土地でのびのびとしたライフスタイルを謳歌するのもおすすめです。
コラム:知ってる?地方都市でもテレワーク推進賞受賞!
徳島県・神山町をご存じですか?神山町は、今から8年前の2012年に、日本テレワーク協会主催「第12回テレワーク推進賞 優秀賞」を受賞した町です。小さな町ですが、有名企業のサテライトオフィスがあるなど、インターネットの環境が整備されています。
地方移住におけるリモートワーク(テレワーク)について詳しく知りたい方はこちらから!
テレワークの普及で地方移住が身近に?疑問点や適した仕事について!
(2)場所にとらわれない仕事
ネットビジネスやコンサルタント業、エンジニアなどの仕事は、オンラインでのやりとりで完結するので、クライアントと直接顔を合わせる必要が薄く、個人で仕事が完結しやすいといった特徴があります。
IT関連の職種であれば、フリーランスとして地方でも力を発揮できるでしょう。
(3)農業・林業・漁業・畜産業
地方移住で憧れる生活スタイルのひとつが、自給自足による伸びやかなライフスタイルでしょう。
組織に属して忙しい日々を送り、満員電車に乗る毎日から解放されたくて、地方へ移住する人も多いものです。
移住先によって農業・林業・漁業・畜産業と選択肢はさまざま。
特に一次産業分野では、若い働き手が不足していることが多く、比較的働き口がみつかりやすいでしょう。
もし、希望の業種があるならば、まずは情報収集から始めることをおすすめします。
例えば、全国新規就農相談センターでは、インスタグラム・ツイッターなどのSNSで就労に関する相談会・体験会の案内を発信しています。
全国問わずコンスタントに情報が公開されているので、気になる移住地があればこまめにチェックしておきましょう。
場合によってはオンラインでの対応も可能となっています。予約時に事前に相談しておくとよいでしょう。
(4)農園の経営者
農家から農業を教わったあとは、広大な土地を活用して農園を経営する「経営者」という選択肢も検討可能です。
高齢化が進む地方では、農業をしたくても続けられないお年寄りがたくさんいます。希望がマッチングすれば、農地の上手な活用法にもなるのです。
たとえば、農家の方はこんなふうに思っています。
- 農地はあるけれど働き手がいない
- 広大な農地を活用したい
- 人が集まれば地域活性化にもつながるけれど…
そして、都会に住む人にはこんな需要があります。
- 野菜作りに挑戦してみたい
- 都会の喧騒から離れて自然を感じたい
- 新たな趣味を見つけたい
農園の経営は、地域に活気をもたらします。
地域全体が盛り上がる取り組みなので、地域全体であなたの農園を応援してくれるかもしれません。
憧れの田舎暮らしをおくりながら、農業の魅力を伝える担い手にもなれるのです。
コラム:法令を守って市民農園を開設しよう
市民農園とは、都市に住む人(農家でない人)が生きがいづくり、体験学習、レクリエーションなどを目的として、一定程度の面積の農地を利用して、自家用の野菜や花を栽培することです。
(参考:農林水産省 市民農園をはじめよう 令和2年度版)
市民農園の開設にあたっては、開設場所の選定、農地所有者との交渉、市民農園の運営方針決定、開設手続き、といった工程をおさえておきましょう。
また、ひとくちに「市民農園」といっても、利用者に農地を貸す「貸付方式」と、農園主の指導の下で継続的に農業を行うものの土地を貸すわけではない「農園利用方式」の2つが存在します。
どちらの市民農園を運営するかで、必要な手続きも異なる点に注意が必要です。
詳しい市民農園の開設方法は、農林水産省のホームページを参考にしてください。農業を仕事にする場合の観点に入れられる気がしますので、もし入れ込めるようでしたらそうしましょう!林業、漁業、畜産業にも同様の観点を入れるとより濃密な内容になります!
(5)事業継承
帝国データバンクによる全国・後継者不在企業動向調査(2019年)では、後継者不足の深刻さが浮き彫りとなりました。
2019年における後継者不在率は65.2%となった。全ての年代で後継者不在率が低下したほか、「40代」以降で後継者不在率は調査開始以来最低を記録した点が特徴。地域別では「北陸」は3年ぶりに、「関東」「中部」は2年連続で低下したが、「四国」・「九州」は4年連続、「東北」は3年連続で上昇した
引用:全国・後継者不在企業動向調査(2019年)
地域の伝統文化を担う職人の高齢化も問題となっています。
都会の企業に勤めあげても昇給や安定が保障されない今、伝統工芸職人という手仕事、自分の興味のあることを仕事にしたいという人も増えているそうです。
しかし、伝統産業においては一子相伝の技術も多く、一人前の職人になるには時間もかかるでしょう。
実際に足を運んだり、体験をさせてもらうなど、職人さんとのコミュニケーションを図ることが大切です。
そんな中でも支援が増えてきており、京都市伝統産業技術後継者育成制度では、後継者の確保と育成を資金面で支援しています。
対象となる伝統産業は「京都市伝統産業活性化推進条例」で定められている事業です。具体例としては、西陣織、京友禅、京くみひも、竹工芸、伏見人形、京和傘など幅広く指定されています。くわしくは京都の伝統産業一覧にて紹介されているので、ご確認ください。
ijuuでは京都に移住するメリットを幅広く紹介しているので、参考にしてください!
(6)古民家カフェや民宿
現在、日本全体で空き家問題になっています。
空き家は犯罪の温床になったり、倒壊の危険もあるため、国を挙げた「空き家の解消」が進められているところです。
地域の空き家は移住者が住まいとして活用するだけではなく、改装して古民家カフェにしたり、民宿を始めたいという「ビジネスの場」としてのニーズが高まっています。
古民家を改築するには、地域の大工さんや内装工さんの力が必要不可欠です。
そして古民家カフェや民宿の魅力は、地元で採れた食材を堪能できるところにあり、周辺農家の野菜も地産地消されます。
つまり、地域の経済を潤す好循環をもたらすのです。
古民家カフェや民宿は、とくに若い女性が中心となってSNSで紹介されやすく、移住者の個性や感性を生かせる仕事といえます。
(7)高齢者のサポート
介護関連の仕事は常に人手不足の状態で、介護福祉士、社会福祉士、ホームヘルパー、ケースワーカー、ケアマネージャーなど幅広い職種で、今後もますます需要が高まります。
福祉関連の仕事は、国家資格が必要なものと、特別な資格を必要としない職種に分類可能です。
国家資格者であるほどより有利に就職活動ができますので、目標とする職種を決めて、資格の取得を目指すことも移住の第一歩といえるでしょう。
地方移住して仕事をするメリットはある?
ここからは、地方に移住して仕事をした場合に、あなたの生活がどんな風に変化するかを考えていきましょう。具体的には、次のようなメリットを紹介します。
- 自由に使えるお金が増える
- 通勤ストレスからの解放
- オンオフのメリハリがつきやすい
- 子育てしやすい環境
- マイホームを購入しやすい
金銭面での余裕はもちろん、心のゆとりも持てるようになります。
自由に使えるお金が増える
地方は、都市部と比べて家賃が低い傾向にあります。家賃は毎月固定の出費です。家賃を安く抑えることは、手っ取り早い節約手段といえます。
自己投資や設備投資に資金を回せるので、より仕事に集中した環境をつくれるでしょう。
全国賃貸管理ビジネス協会によると、2021年12月の家賃相場は次のとおりです。
なお、都道府県は該当地方で比較的家賃平均の高い都道府県を抜粋しています。
家賃動向調査(2021年12月調査)
都道府県 | 1部屋 | 2部屋 | 3部屋 |
北海道 | 43,582円 | 52,177円 | 65,176円 |
宮城県 | 48,132円 | 54,289円 | 68,257円 |
東京都 | 68,441円 | 85,025円 | 90,361円 |
石川県 | 42,671円 | 50,043円 | 66,064円 |
京都県 | 53,217円 | 71,535円 | 77,198円 |
高知県 | 41,820円 | 52,895円 | 62,579円 |
広島県 | 47,359円 | 58,829円 | 66,704円 |
福岡県 | 46,866円 | 59,918円 | 68,517円 |
通勤ストレスからの解放
都市部で満員電車に揺られる通勤地獄とさよならできます。
住む地方にもよって違いますが、通勤手段は電車または自家用車になるでしょう。
公共交通機関が整備されている場合は電車やバスになりますが、都市部ほど混んでいることはありません。
職場に従業員用の駐車場が設けられていたり、マンションでも格安で駐車場込みの値段で住むことができます。つまり、自動車が「人の移動手段」なので、自動車を持つ人の負担もできるだけ軽減されているのです。道についても、通勤ラッシュ時には多少混む可能性もありますが、都市部ほどの大渋滞を心配する必要はないでしょう。
オンオフのメリハリがつきやすい
都会では、常に人の目があります。リフレッシュできるはずの休みの日でさえ、都会の喧騒からは逃れられません。
一方、地方に移住すると、プライベートの時間は自然の中でゆったりとした時間を過ごせます。
マリンスポーツやウィンタースポーツなどの趣味を満喫したり、これから新たな趣味を見つけたいという人にも最適です。
子育てしやすい環境
思いっきり泥だらけになったり、野山を駆け回ることは、自然豊かな地方の特権です。
清らかな空気の下でのびのび子育てしたいというニーズは、さらに加速するでしょう。
これまでは学習格差が叫ばれてきましたが、オンライン学習の機会も増えているので、その心配は少しずつ解消に向かっています。
マイホームを購入しやすい
都市部と比べて地価が安いことから、同じ金額で、もっと大きな家に住むことができます。
都会では子供部屋を確保するのも難しいですが、地方では一軒家も夢ではありません。
ただし、転職により年収が大きく下がる場合には、住宅ローンに支障をきたす場合もあります。まずは仕事を決めてから、生活基盤を整えていきましょう。
地方移住で仕事をする際の問題点やデメリット
地方へ移住して仕事をすることにはデメリットもあります。しかし、そのデメリットをあらかじめ知っておくことで、移住前後のギャップを埋めることは可能です。ここでは次の2つのデメリットをみていきましょう。
- 人間関係が都会よりも濃い傾向にある
- 最初は不便を感じやすい
人によって何をデメリットと感じるかは違います。デメリットとメリットを比較しながら考えてみてください。
人間関係が都会よりも濃い傾向にある
地方は、土地から人が出ていくことはあっても、外から人が入ってくることは少ないものです。つまり、ずっとその土地に住み続けている人のコミュニティが形成されています。
例えば、近所の人が勝手に玄関から入ってくるという話を聞いたことがありませんか。
普段から鍵がかかっていなかったり、人と人の距離が近いことも理由のひとつです。
また、その土地の人たちが主体的に運営・参加している地方行事への参加を促されるケースもあるでしょう。
逆に言えば、地域の人たちとコミュニケーションをしっかり取ることで、生活や風習にもスムーズに馴染めるものです。
都会では、良く知らない人が隣人だったりします。
そう考えると、よく知る人同士で助け合って生活していく地方の暮らしを悲観する必要はありません。
最初は不便さを感じやすい
もともと住んでいる土地と地方では、公共交通機関(電車・バスなど)の充実さや、コンビニ・ファストフードなどの小売店の数の違いに驚くでしょう。また、車がないと生活が難しい場合もあります。
ただし、このような環境は自分で選ぶことができるのです。
地方と言っても、ひとくくりにはできません。地方都市であれば、大きな不便を感じることは少ないでしょう。一方で、山奥に住みたいなら、相応の覚悟は必要です。
移住先をどこにするのかは、あなた次第なので、不便さも考慮に入れて移住先を検討しましょう!
地方移住や地方での仕事を成功させるポイント!
体験談ブログなどで失敗経験も把握する
地方へ移住した経験は、SNSやブログで調べることができます。
実際に移住した人の日常をつづったブログは、成功体験だけでなく、失敗体験や、うまくいかなったことなどを垣間見ることができるでしょう。
どんな失敗を経験して、どのように克服して移住生活を続けているのかを事前にイメージしておくことで、移住後のギャップを少なくできます。
仕事を見つけてから移住する
仕事は生活の要になります。また、職場を起点に住むところを決める人も多いのではないでしょうか。まずは仕事を先に決めてから、実際の移住にうつりましょう。
希望の仕事内容によりますが、すぐに就職先が見つかるとは限りません。
採用面接時には、内定が出たらすぐに移住に向けた準備を始めることを伝えましょう。先方も、遠方から移住してくる人を急かすようなことはないでしょう。
コラム:人間関係を築くきっかけにもなる
仕事が決まったら、人事担当の方に「おすすめな場所」を聞いてみましょう。その方が移住の先輩であれば、体験談を踏まえて教えてくれます。
また、地元の方であれば、土地の雰囲気や住みやすさのリアルな声が聞けるでしょう。なにより、これから一緒に働く方との会話のきっけかにもなります。
仕事を見つけるには、地方自治体が主催している就職活動のイベントや、HPを活用してみるのも一つの方法です。たとえば、沖縄で仕事を見つけるにしても、毎回沖縄へ行くと交通費もかさんでしまいます。
UIターン事業ナビサイト りっか沖縄では、個別相談会や各地での説明会も盛んにおこなわれており、情報も豊富です。情報収集をしっかり行ってから現地に行くことで、実際に自分が働くイメージを描きやすいです。
就職活動のコツなど、仕事を見つけるまでの観点もあると良いですね!
移住の相談窓口をフル活用する
都市一極化や地方の過疎化は、国家レベルで問題視されています。
地方自治体による補助金・補助制度、空き家再生プロジェクトなど、地方を盛り上げるために多くの方が力を合わせているのです。そういった機会をフル活用するべきでしょう。
以下は、地方への移住についての相談窓口の一例です。実際の相談窓口の利用については、各窓口の規約などをよくお読みの上、個人の判断のもとで活用してください。
相談窓口 | 概要 |
認定NPO法人 ふるさと回帰センター | 地方への移住、IJUターン希望者への情報提供、セミナー開催。センターは東京、そのほか各地方に相談窓口あり。 |
移住スカウトサービス SMOUT | 移住先と移住希望者のマッチングサイト。「地域から声がかかる」がテーマで、各地域のプロジェクトなども紹介。 |
都道府県による常設の移住相談窓口(総務省) | 全国の移住に関する相談窓口の一覧表。 |
ニッポン移住・交流ナビ | 移住関連のトレンドや企業と自治体のコラボレーションの推進、都市から地方への移住などの交流を支援する組織。 |
【地方移住における仕事】まとめ
地方へ移住した場合の仕事の仕方として、今ある仕事のリモートワークをすること、ITスキルを活かして独立することを紹介しました!
そのほか、農業・漁業・畜産業などの一次産業に就くほか、事業継承や起業、高齢社会のサポーターとしての活躍も可能でしょう。
地方に移住することで、金銭面と精神面のゆとりも期待できます。デメリットも併せて理解しておくことで、より具体的な「移住ライフ」のビジョンが描けますよ。
どの都道府県が自分に合っているか悩んでいる方は、ijuuで希望の都道府県の情報を探してみてください!